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磨き棒鋼について

磨き棒鋼とは?

磨き棒鋼とは、製鋼メーカーより供給される棒状またはコイル状の熱間圧延材(黒皮材)をより精密な寸法、ひずみのない形状、なめらかな光沢ある表面肌、時には被削性や機械的性質の改善を目的として、引抜きや切削、研磨などによって仕上げられた棒鋼のことです。

磨き棒鋼の特徴

熱間圧延による鋼材は、高温で加工するため、少ない力で加工できると言うメリットや金属組織を熱で変えることができるため機械的性質面での改善が期待できる反面、表面に黒皮(くろかわ)やスケールと呼ばれる酸化皮膜ができるため、見た目が黒っぽくなり、美観がよろしくありません。また、高温で加工するため、温度の分布や各部位の熱履歴が一定しないことから、形状や寸法精度をあまり高いレベルで出すことができません。さらに表面に微細な欠陥やピンホールなどがあってはまずい場合などその使用には限界が出てきます。

こうした熱間圧延鋼材のもつ欠陥やデメリットを後工程による冷間加工で改善した鋼材が磨き棒鋼です。
具体的には、引抜き、切削(ピーリング)、研削のいずれかの手法やこれらの組み合わせによって、熱間圧延された鋼材の表面を削ったり、塑性加工し、これによって精度が高く、表面粗さに悪影響を与える酸化皮膜を取り除いた鋼材となります。

磨き棒鋼の種類と特性

磨き棒鋼には大別すると『冷間引抜き磨き棒鋼』と『切削(ピーリング)磨き棒鋼』があり、さらにこれを研削仕上げした『引抜き研削磨き棒鋼』、『切削研削磨き棒鋼』などがあります。一般的に磨き棒鋼といえば『冷間引抜き磨き棒鋼』のことを指します。

およそ9割近くの磨き棒鋼が冷間引抜き加工によるものです。ピーリングはバイト等の切削工具で表面を削り、剥がす加工であるためコスト高となりがちですが、ダイスを作るまでもない少量等のときには臨機応変な加工が可能です。削る深さについても状況に応じて深く削ってゆくこともできます。

冷間引抜きによる場合、大量生産を前提とする切削加工に比べてコスト面で有利になります。引抜きはダイスと呼ばれる穴のあいた工具に鋼材を通し、塑性加工によって形状を変えるため(所定寸法の穴に通すことで、削らずに素材を引き伸ばすようにして形状を変える加工)、鋼材の強度に影響する『繊維』とも呼べる鍛流線を切断する必要がなく、強度低下の心配がありません。精度も高いレベルで出すことができます。

研削の場合、表面の仕上がりは精度よく仕上げられますが、取りしろ(削り代=どれだけ の深さまで削ることができるか)に限度があるため、表面欠陥の深度が一定以上まで及んでいる場合効果は薄くなります。

以下に、4種類の磨き棒鋼の特性をまとめます。

種類 特性
1.冷間引抜き磨き棒鋼
Cold Drawn Steel Bars
  1. 寸法精度、ばらつき等は良好であり量産に向いている。
    コスト的にも有利である。
  2. 材料ロスが少なく、歩留まりは良好である。
  3. 冷間で塑性変形するため残留応力が残る。
    そのため引抜き後に矯正工程が不可欠である。
  4. 加工硬化により素材強度は増す。
  5. 靭性(粘り強さ)は低下する。
2.切削磨き棒鋼
Turned and Polished Bars
  1. 寸法精度、ばらつき等は他の磨き棒鋼より劣る。
  2. 冷間での塑性変形を伴わないので、残留応力はきわめて少ない。
  3. 機械的性質は素材と同じでほとんど変わらない。
  4. 切削により寸法を仕上げるため、削り取った分歩留まりが悪い。
  5. 切削の加工速度は遅く、量産向きではない。
  6. 表面傷や脱炭組織のない製品が得られる。
  7. 冷間引抜きの困難な材料には適している。
    硬い素材、少量の中間サイズなど。
3.引抜き研削磨き棒鋼
Drawn, Ground and Polished Bars
砥石により冷間引抜き磨き棒鋼の表面を研削することにより
  1. 冷間引抜き磨き棒鋼の精度をより向上させる。
  2. 表面キズ、脱炭層を除去が可能。
  3. 製造スピードは遅く、かつ多工程にわたり量産向きではない、コストは高い。
4.切削研削磨き棒鋼
Turned, Ground and Poliched Bars
切削磨き棒鋼の表面を砥石にて研削することにより
  1. 残留応力の小さい、表面キズ脱炭層のない、寸法精度のよい磨き棒鋼が得られる。
  2. 加工スピードは遅いため大量生産には向かない。
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